番外編 スペイン
〜スペインのクレヨンしんちゃん騒動〜

















さ〜て、今回はスペインを取り上げたいと思います。




スペインは
情熱の国とも呼ばれていまして

フラメンコ闘牛なんかが有名ですよね♪


最近はサッカーのEURO大会でスペインが

じつに
44年ぶりに優勝を果たすなど


何かと景気の
良い話をうかがう国でもあります。








スペインのマンガ出版社



さて、スペインのマンガ事情ですが


ジェトロさんの調査レポートによると

年間
600点以上の日本マンガが翻訳されたそうで

マンガ・アニメの人気ぶりがうかがえます。


マンガの売上は
1,000〜6,000部とのことで

市場としてはやはり
小さいのが現状です。





スペインのマンガ
出版社になりますが


Glenat社

Planeta DeAgostini(プラネット社)

Norma Editorial(ノルマ社)




の大手出版社3社がスペインのマンガシェアの

8割近くを持っているそうです。




特に『ドラゴンボール』『クレヨンしんちゃん』などの

人気タイトルを
もつ
プラネット社


『NARUTO(ナルト)』『名探偵コナン』などの版権をもつ

ノルマ社の2社は90年代頃から日本マンガの版権を


積極的に買い付けを行い、ヨーロッパの

マンガシェアをめぐり激しい
闘争を繰り広げていました。





また、ヨーロッパでは70年代には


『アルプスの少女ハイジ』

『UFOロボグレンダイザー』

『マジンガーZ』

『科学忍者隊ガッチャマン』




などの日本アニメが続々と

上陸を果たし
人気を集めました!




その後は、色々とあり日本アニメブームは

収束の方向に向かう訳ですが



90年代には
『AKIRA』の大ヒットを皮切りに


『ドラゴンボール』『美少女戦士セーラームーン』




そしてに
『ポケモン』メガヒットするなど

まさに
日本アニメ全盛時代を迎えた訳です♪







スペイン版『AKIRA』大友克洋
ヨーロッパでの成功が日本マンガ定着の道を作る!









90年代のスペイン出版社



『オタク学』
でお馴染みの岡田斗司夫さんによると

90年代に
『AKIRA』大ヒットしたことをきっかけに




プラネット社
ノルマ社の2社が

しばしばマンガの版権を買い付け来ていたそうで



岡田さんは実際にそのスタッフに会って

アドバイスをしていた様です。



ちなみに
ノルマ社が獲得した版権は下記のとおり




90年代ノルマ社から出版された主な出版物



『童夢』 大友克洋
『攻殻機動隊』『ドミニオン』 士郎正宗
『逮捕しちゃうぞ』 藤島康介
『電影少女』 桂正和
『きまぐれオレンジ★ロード』 まつもと泉







なかなかマニア心をくすぐるを

ライナップですね〜


特に
ノルマ社士郎正宗さんの『攻殻機動隊』

版権を買いつけ
成功を収めていたそうです。






一方、スペイン出版の
大手プラネット社ですが



岡田さんいわく


マンガを選ぶセンスがなかった

と評しております




しばしば
プラネット社の社員が日本の出版社を訪れ

ヒットしそうなマンガはなんですか?



っと聞いて、よく
マイナー

マンガを多く掴まされていたそうです(笑)




ある時、日本の
出版社


『What'sMichael?』

なんかいいですよ〜





口車にのせられ、スペインで発行したそうですが

これが見事に大はずれで
大赤字だったそうな(笑)




そう言えば、ヨーロッパでは
初期の日本のマンガ作品は

やたら
マイナーなマンガ作品のラインナップが


多かった様な気がするのですが

ここに
原因があったのかもしれません!






『What'sMichael?』小林まこと
スペインで出版されるも大失敗だったらしい









クレヨンしんちゃん旋風



さてさて、続々とスペインに上陸した日本の

マンガ・アニメ達でありましたが


その中でひときわ
成功を収めたアニメがありました。



それは、日本のスーパー幼稚園児

『SHIN CHAN』(クレヨンしんちゃん)です!




スペインで放送が始まったのは2001年とのことで

始まるやいなや人気が
爆発!



スペインでのアニメ放送の
最高視聴記録

42%を記録するなど、快進撃が始まります。



また劇場版作品の


『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』


が公開されると

スペインでは初週ランキング
3位を記録!




2003年にはスペインの

「最優秀エンターテインメントキャラクター賞2003」


を受賞するなど名実ともにスペインに

認知される形になりました。



余談ですが、しんちゃんが舞台の
春日部

スペイン人の間では有名な日本の
地名なってるとか・・・






Crayon Shin-chan La gran busqueda de las bolas oscuras
(クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡 )
スペインで映画公開され、初週3位と健闘を見せる










しんちゃんバッシング



スペインにおいて2003年に人気の

ピークを迎えた
『SHIN CHAN』ですが


やはり人気者の
宿命というか

大きな
批判の声がスペインで上がり始めます。




2004年からスペイン
社会労働党に政権が交代すると



恥知らずで教育上よくない!

との批判が勃発!




『SHIN CHAN』の放送中止を求める動きに

事態は
発展してしまいます。




結果、放送時間の
変更などが余儀なくされ


放送時間が夜の9時になったり、なかには

放送中止になった地域もあったそうです。




「ゾーさん」を始めとする「下品」な表現がしばしば問題になる

しんちゃんですが、韓国でも同じような批判があった様です。



ちなみに我らが
日本でもクレヨンしんちゃん

ギャグをマネをする
ちびっこが続出したため




PTAを始めと方々から放送自粛などを求める

動きもあり、大きな
議論を巻き起こしたりしました。



そんな影響を受けたためか

現在の日本のアニメ版の
「クレヨンしんちゃん」では


「下品」なギャグはあまり登場する回数は

初期に比べかなり
減っているようです。




ちなみに
スペインなどの海外では「ゾーさん」などのギャグは

下半身が見えないよう
だけ写したりと、日本以上に

表現規制厳しい傾向にあるみたいですね〜






世界中に議論を巻き起こすスーパー園児
47カ国に放送され、その人気は留まることを知らない








スペインのマンガ市場規模



では、次はスペインの
マンガ市場規模

について考えてみたいと思います!



ジェトロさんの2007年の調査レポートによると



スペインのコミック市場は

発行数
1,388 万部(1,139 点)

9,879 万ユーロ(だいたい140億円)

とのことです。



ちなみこちらの統計データは
アメコミマンガ

一緒にした数字とのことで、具体的な
日本マンガ

市場規模は
不明です(涙)




スペインでは年間
600点以上のマンガが出版されて

いるので、
半分以上を占めていると考えれば


ざっくり
70億円ぐらいの市場規模になります!




おぉ!以外と
大きな市場なのかもぉ!?

っと、思わず
ウキウキしちゃいますよね(笑)




ただ
イタリアでは日本のコミックシェアは

20%ぐらいだったので



そう仮定すれば、
28憶円ぐらいになります。

まぁ、これぐらいが
妥当かな?って感じですかねぇ




ちなみに
大ヒット作品と言われる『NARUTO』でも

初版の印刷部数は
3万部だったそうで

マンガの平均の印刷部数は
3,000部程度とのことです。




また、
アニメDVDも非常にマニアックな市場の様で

1作品のDVDは
2,000枚ほどしか生産されません。


ちなみに
『聖闘士聖也』は異例ヒットを記録し

12,000枚も生産されたそうですが・・・



上記を見ればスペインでは
日本マンガ・アニメ

まだまだ
小さな市場であることは間違いありません!


2002年のドイツのマンガ市場規模(25億円)ぐらい

と考える方が
ツカさん的にはしっくりきます。






スペイン版『NARUTO 1巻』 岸本斉史
海外でのNARUTOの人気はマンガではトップクラス








スペインのテレビ事情



次はスペインの
テレビ事情を見ていきます。

スペインの全国+地方のアニメ番組の放送時間

シェアは下記のとおり



2005年スペイン 全国・地方局の各国アニメ放映
※ジェトロさんの調査レポートより



■国別 ■シェア ■放送時間
日本   36.1% 267501分
アメリカ   25.6% 189974分
その他欧州  23.3% 172891分
スペイン  8.5% 62938分
その他  6.5% 48037分






アニメ放送では2000年までは
アメリカ

圧倒的なシェアを誇っていたそうですが



2002年から
日本がアメリカからトップを奪い

その後は
シェア1位の座を走り続けている様です。




全国放送局に限ればクレヨンしんちゃんの放送が始まった

2001年が日本アニメの放送の
ピークを迎えます。



ただ、やはり政権交代などに伴い
批判などが

高まった
影響か、その後は徐々に日本アニメ

放送が
削減の方向に進められます。



05年には最盛期の
4分1まで放送時間が減り

日本アニメのシェアは
10%にまで減少します。





逆に伸びているのが
スペイン地方の放送局で

2001年には日本のアニメシェアは
19%ぐらいだったのが


2002年からシェアを
36%に躍進させて、アメリカから

首位を奪取すると、2005年には
40%のシェアを握り




地方局の規模は全国局の

2倍以上の規模がありますので



日本アニメはスペイン全体の

36%のアニメのシェアを持ち

トップに立っている
状態なのです!





地方局での日本アニメの躍進の背景には

複数の
地方局の団体が一括でアニメの放送権を

購入するなど、日本アニメ放送の仕組みが

上手く機能してい点が挙げれられます。





スペインの
地方局が商売上手なのか

日本の
誰かがうまいことやったのか知りませんが


商売下手の日本にしては
珍しく

成功した良い事例だと思います!






『Campeones hacia el Mundial Oliver y Benji』(キャプテン翼)
サッカー大国のスペインでも放送され、人気が高いそうだ!








今後の課題



アニメ放送では成功を収めている
日本アニメ

ですが、やはり
課題マンガになってきます。



まず第一の問題は
販売場所の確保の問題です。


スペインの一般的な
本屋さんにはマンガが小さすぎて

流通ルートに乗せれないという大きな
欠点があります。


そのため
マンガのおもな販売先はキオスク

4割を占める状況になっているそうです。



そして、何よりも問題なのは日本の
出版社です。


こちらは契約から出版までの
チェックがやたら多く

非常に
時間がかかることがスペインの出版社に

とっては
不満を持っているとのことです。




ただスペインの
コミック市場はデータを見ていると

市場は順調に
成長をしているようで


他にも公式な数字には含まれない
コミック専門店

300店ほどあるとのことで、今後伸びる余地は

まだまだ
高いと思います。




スペインでの日本アニメの
成功を見習い

日本の
マンガ出版社はもう少しスムーズな

マンガ出版の仕組みを
確立することが


今後のスペインのマンガ市場の
発展に繋がる

カギになるのではないかと思います。






スペイン版『フルーツバスケット 19巻』高屋奈月
スペインでもなかなかニーズがある少女マンガ




〜おわり〜







2008年7月26日制作


今回は下記のHP・文献を参考に書かせて頂きました。

ありがとうございました!


フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

http://ja.wikipedia.org/wiki


ジェトロ(日本貿易振興機構)

スペインにおける日本のテレビアニメ・マンガ・映画市場の実態(輸出促進調査シリーズ) 2007年12月

http://www.jetro.go.jp/jpn/reports/05001517


スペインで『クレヨンしんちゃん』が最優秀キャラクター賞に エキサイトニュース

http://www.excite.co.jp/News/bit/site/00081076917749.html
2004/2/16


『東大オタク学講座』

第四講 まんが概論 あくなきオタクな漫画読みになる方法
岡田斗司夫

1997/09/26

http://www.netcity.or.jp/OTAKU/okada/library/books/otakusemi/No4.html


Norma社のHP

http://www.normaeditorial.com/main.aspx?page=home


Glenat社のHP

http://www.edicionesglenat.es/asp/default.asp


あとなんかのテレビでやってました・・・番組名を忘れた






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