番外編 タイ
〜日本アニメとタイ・アニメーション〜
久々アジアを取り上げたいと思います!
今回はタイのマンガ・アニメ事情です。
タイは日本とは大変繋がりのある国であり
日本の企業さんがたくさん進出しています!
最近では政情不安から空港が閉鎖になったり
かなりでんじゃらすな印象がありますが・・・
ただ本来のタイは
「ほほえみの国」
なんて呼ばれていまして
仏教の国の影響からか、国民性には
大変おおらかでおとなしい感じがします。
またオカマさんなど同性愛者がかなり
公に受け入れられているそうで
社会では同性愛者の進出が日本とは
比べ物にならないぐらい進んでいたりします!
タイのマンガ市場規模
話がそれました!
タイのマンガ市場規模ですが
ジェトロさんの調査レポートによると
35.8百万USDあるそうです。
当時のレートで大体40億円ぐらいですかね
ちなみにほかの統計では60億円との
データもあるんですが、どっちが正しいのでしょう???
ともあれ、アジアではそれなりに
大きな市場ではないかと思います!
タイの本屋さんを覗いて見ると
『ドラえもん』やら『名探偵コナン』やらが
そこそこマンガが並んでます!
しかし、一般の書店にはマンガのジャンル少なく
アニメ・マンガの専門店で入手する
必要があるようですね。
やはり人気の筆頭に挙げられるのは
『ドラえもん』『ドラゴンボール』
の作品でしょうか!
特に『ドラえもん』はタイでは82年からアニメ放送をされ
タイでも国民的アニメとして今でも人気を博しています!
ちなみに2007年には
日本からの親善大使として
ドラえもんがタイを訪問しています。
タイ版『ドラえもん のび太の恐竜』
タイでは82年から放送が始まり、現在まで人気がある。
タイ版ドラえもん Youtube動画
http://www.youtube.com/watch?v=OvuqDfmlrgE
消されていたのでタイ版OPです。
http://www.youtube.com/watch?v=iMt-NtETfBk
タイの違法コピー
タイでは70年代から他のアジア各国と同様に
日本マンガの海賊版などが多く出回りました。
当時のタイにも独自のコミック文化がありましたが
値段が安く、クオリティの高い日本マンガに
人気が集まります。
そして90年代に入ると
日本の出版社と正式にライセンス契約を結び
正式な販売が始まります。
しかし現在でも、日本のアニメ、ドラマなど
違法コピーのDVDなどが格安で
路上などで出回っているのが現状です!
とあるタイ人の方は、格安の違法DVD
で買った日本ドラマにハマったそうで
日本語を勉強する様になったと語っていました
ちょと余談になりますが
日本のエッチ♪な違法DVDもかなりあるそうで
某・AV女優さんがタイにこられた際は
空港にかなり人が集まったとか(笑)
まぁ、良くも悪くも違法コピーは
日本マンガ・アニメを普及する大きな
要因になっていることは間違いないわけです。
むしろこれらを厳重に取り締まったら
韓国や中国のドラマ・アニメの人気が
高まるんじゃないかと思ってしまいますね〜
タイの日本アニメブーム
さて、ここでタイの日本マンガ・アニメの
歴史を振り返ってみたいと思います!
タイでは70年代に日本のとあるアニメが
放送され大きな人気を呼びました
それはなんと『一休さん』です!
教育的な内容が受けたか、タイでは20回以上も
再放送が繰りかえされているそうで
タイで大成功を収めた最初の日本アニメとなります
80年代に入ると、鳥山明さんの
『Dr.スランプ アラレちゃん』
の放送が始まり大成功を収めます。
そして『ドラえもん』『ドラゴンボール』と続々と
日本の人気アニメ上陸を果たします。
また2000年代に入ると日本アニメの
『ヒカルの碁』
がアジアでは大きな人気を呼び起こし
タイでは馴染みの薄かった囲碁(いご)が流行りました!
余談になりますが『Dr.スランプ アラレちゃん』の
則巻 千兵衛(のりまき せんべえ)役を務めた
タイ人の声優さんが人気物になったそうで
その後、タイ版『ドラえもん』の
ジャイアンの声優も務めたとのことです。
『一休さん』(1975〜82年)
仏教の国タイにて日本アニメの礎(いしずえ)を築く
タイ版一休さんのYoutube動画
http://www.youtube.com/watch?v=2KFyV0w7Sac&feature=related
消されていた、、、新しい動画URL
http://www.youtube.com/watch?v=Q-BfS0csHAQ&feature=PlayList&p=82
AFB660710C17F5&playnext_from=PL&playnext=1&index=1
韓流ドラマの台頭
90年代に入るとアジア各国では
日本ブームとなり、日本のトレンディードラマ
が頻繁に放送されるようになります!
当然、タイでも日本ドラマの快進撃は凄まじく
日本ドラマの全盛時代が2000年頃まで続きます。
しかし、この頃になると
アジアでは『冬のソナタ』など
韓国ドラマの台頭が始まります!
アニメ放送を除いた2006年の統計では
タイでの韓国ドラマの放送数に日本は
逆転されてしまいます。
現在のタイでは韓国ドラマの天下と行っても
過言ではなく、韓国人の俳優さんもよく来られ
人気が高いのが現状です。
日本側の問題点として版権などの買い付けが
ひじょーにややこしく、時間とコストがかかるため
海外のバイヤーさんは大変に売りにくい
商品であることが大きな障害となっています。
今後、日本がアジアで伸びるためにも
この問題は早急に解決する課題だと思います。
一方、韓国流ブームも少し潮目が
変わりつつあるのではないかと考えますが
それについては別の機会に譲りたいと思います♪
タイ産アニメ輸出へ!
日本やアメリカのアニメが中心だった
タイのアニメ業界でしたが、2008年頃から
自国のアニメを制作し
世界へ売り込もうとする取り組みが高まります。
これは80年代から日本のアニメーション会社が
コストカットとして、アニメ制作の工程を
アジアの国々に外注する動きが盛んになりましたが
その結果、韓国、タイなどのアジアの国々も
自前にアニメ制作ができる土台が
整ったのでないのか思われます!
タイのアニメーション制作会社の
バンルー・グループは2008年9月に
自国で放送をされていた『パンポン(Pangpond)』シリーズを
シンガポール企業に放送権利を売却し
アジア6カ国に放送することを発表しました!
また、08年6月にはタイ初の3Dアニメーション
『シェルドン』を英国の大手配給代理店に委託し
世界各国に放映権を販売を発表しています。
この様にタイ・アニメーションは世界へ積極的な
売り込みが、目立つようになって来ているのです!
・・・っと、ここまでは世界景気がバブっていた
2008年のお話なので、金融危機の起こった現在では
かなり状況が変わっていると考えられます。
2009年以降はアニメ市場でタイ・アニメーションが
いかに特徴を出していくか注目したいところですね♪
左が『シェルドン』 右が『パンポン』
タイ・アニメーションの制作・売込みの動きが本格化
タイアニメーション『パンポン』のYoutube動画
http://www.youtube.com/watch?v=kWHlUw-fVAM&feature=related
タイ産長編アニメーションの誕生
さて、次はタイの長編アニメーション誕生の
エピソードの話をしたいと思います!
2007年に入るとタイ初の長編アニメ映画
『The Life of Buddha』
ザ ライフ オブ ブッダ
が公開されます!
これはかの有名なブッタさんをモチーフ
にしたアニメーションですね♪
さすがわ仏教の国だけありまして、
2007年12月5日にプーミポン・アドゥンヤデート国王の
80才の誕生日を記念して放映されたそうです!
本作の特徴としては2Dと3Dアニメーション
組み合わせ、伝統的なディズニーアニメーションを
ベースに描かれています。
ちなみに『The Life of Buddha』制作に尽力を
つくしたのが当時は会社員だった
Wallapa Phimtongさんという女性です。
Wallapaさんが『The Life of Buddha』の制作を
始めたのは2004年からです
彼女は当初の映画制作費用は
5000万バーツ
※当時のレートで1億5000万円ぐらい?
・・・と考えていたそうですが
度重なる、制作期間の延長のため
制作資金のコストがかさみ
資金の調達に大変苦労をされたそうです。
化け物 vs お坊さん(『The Life of Buddha』より)
ディズニーアニメーションの影響を大きく受けている。
『The Life of Buddha』完成まで
『The Life of Buddha』を制作にあたっては
政府機関に技術支援などを求めたそうですが
あまり上手く行かなかった様です。
おまけにアニメーション制作にあたって
訴訟!まで起こされたそうです
訴訟の内容はよくわかりませんが
熱心な仏教徒さんから
「ブッタのイメージが違う!」
っと、訴えられたのかもしれませんね
敬虔(けいけん)な仏教の国ですから
そんな苦労もめげず、Wallapaさんは
自分の車や土地を売ってまで資金を作り
アニメ制作を続行します!
そして、2007年には彼女の執念が実り
国王の誕生日の記念として放送されるという
国家的プロジェクトにまで発展したわけですね〜
Wallapaさんはインタビューで
この映画が劇場で公開されたあと、学校などへ
フリーで配布するのが大きな目標だと
語っていたそうです。
彼女はアニメーションと枠をこえて
タイの人々に大きな夢を与えたいとの思いが
強く感じられるエピソードだと思いますね
『The Life of Buddha』(2007年公開)
タイ初の長編アニメーション。タイ国王の誕生日に公開される。
『The Life of Buddha』のYoutube動画
http://www.youtube.com/watch?v=CIFtC-1vveM
Wallapaさんのアニメ製作のエピソードを調べていると
日本の手塚治虫さんの言葉が思わず思い出されます。
「アニメ制作はお金がかかる」
「ウォルト・ディズニーさんも資産を残していない」
手塚さん自身もアニメ制作に私財投げ出し日本の
アニメ大国の基礎を作りました。
アニメ制作とは突き詰めれば製作者側の
信念なんだと感じさせられます。
さて、最後になりますが相変わらず
課題だらけの無策な日本なわけですが
日本政府は何もしていないわけではありません。
詳しくは書けませんが、具体的に世界に
売り込もうとする動きもみられます。
ただ、こんな政治が混迷しているようでは
な〜んも、できないでしょう。
さっさと政権を落ちつかせて
その取り組みが具体的な成果に繋がるように
願いたいと思います。
タイ版『ヒカルの碁』23巻
アジアで囲碁ブームを巻き起こし、タイでも人気に
〜おわり〜
2009年2月22日制作
2010年5月17日一部訂正
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