番外編 香港のマンガ・アニメ事情
〜香港コミックスと日本マンガ〜


















今回は
香港のマンガ事情に迫りたいと思います!





香港と言えば、イギリスの
植民地でしたが



1997年、イギリスから
中国に返還され

色々と
議論を呼びました。


最近では中国経済の発展と共に

世界でも最も
景気が良い地域だそうです。




そんな
香港ですが、韓国、台湾に並ぶ

日本マンガの
一大拠点であります!




また、香港と言えば
カンフー映画などで

世界有数の映画製作の拠点としても
有名ですよね♪








香港映画の発展




香港映画が世界でブームを巻き起こしたのは

73年、ハリウッドで公開された
ブルース・リーさん主演の





『燃えよドラゴン』



が公開され世界中で

カンフーブームを巻き起こします。




ただ、
ブルース・リーさん自身は『燃えよドラゴン』の撮影終了直後

32歳の若さで
急死してしまいます。




原因は微量の
大麻が検出されたほか

服用していた薬の
副作用と言われていますが


暗殺説など様々な憶測を呼びました。




その後、
香港は世界のアクション映画の製作拠点として


ジャッキー・チェンさんなどの

スターを輩出し続けることになるのです!








『燃えよドラゴン』(1973年)
世界で大ヒット 「アチャー!」が大流行に









香港の連環画文化




独自の
庶民文化が目につく香港ですが



1920年ごろは
連環画と呼ばれる

主に
三国志などの時代劇の絵巻物が流行っていたそうで

もともと1880年頃の中国で生まれた
技法だそうです。




香港の街角では
連環画を格安で貸し出す

貸本屋が多数あり、庶民の
娯楽として発展しました。




1960年代に入ると、
ディズニーアニメーションの台頭や

海賊版による、
手塚治虫作品などの日本マンガの流入により

香港の
連環画は大きな影響を与えました。




その後、
連環画と現代マンガ・コミックの手法を取り入れた

香港出身の
マンガ家さんたちが台頭します。



なかでも、64年から連載を始めた
王澤さんの4コマギャグマンガ


『老夫子』


はロングヒットを記録します。





ちなみに香港での発行部数はなんと


1憶8千万部


を誇っているそうです。





こちらの
『老夫子』は香港版の

サザエさん的な存在でありまして

連載は実に
40年近くも続きます。



こちらは現在も連載が続いている様です。








『老夫子』<中国大陸版>(64年〜 ) 王澤 
07年には中国本土に販売が正式決定。












香港コミックスの誕生




1970年代に入ると先に紹介しました

ブルース・リーさんの『燃えよドラゴン』の大ヒットにより

世界では空前の
アチャー!ブームに沸きます。





当然、本場の香港でも
アチャー!な作品は人気がありまして




正義のために武術でを倒す!

・・・といった感じの



武侠(ぶきょう)

と呼ばれる


アチャー!でかなり漢(おとこ)なマンガが発展を遂げます。






この頃は日本マンガの
劇画の影響を受け

※劇画作品の例 『ゴルゴ13』など



カンフー好きの香港の
マンガ家さんの間では

より
リアルマッチョなキャラを描くようになり

庶民の間では人気を博しました。




なかでも人気を集めたのが
黄玉郎さんの

1970年に格闘マンガの
小流氓』を連載し人気を集めます。



連載後間もなく、
『龍虎門』にタイトルを改め



2000年からは

『新著 龍虎門』

のシリーズを開始!



なんと現在までシリーズが続いています!




これらは
香港コミックスと呼ばれる様になり

格闘マンガとして地位を確立して行くことになるのです。









<左> 小流氓(1970年) <右> 新著 龍虎門267巻(2005年)
07年現在も続く長編シリーズ。見比べると時代の流れを感じます。










香港コミックスの発展




80年代、
日本マンガ海賊版が多く流入はしますが

相変わらず
香港コミックス天下が続きます。



武侠作品のアクションを中心に香港コミックスは

緻密で細かく描かれた作品に進化を続けます。



1983年には
馬榮成さんの『中華英雄』シリーズが

なんと
20万部のセールを記録!


香港コミックスは
黄金期を迎えます。




また、91年に日本の格闘ゲーム
『ストリートファイターU』

大ヒットし世界的なブームになると



香港ではゲーム原作の
アクションマンガが大流行となり

無許可で日本の格闘ゲームをモチーフにした

オリジナル作品が多く売れるようになりました♪



当然、
日本企業は怒ったらしく抗議を行ったのか

現在は正式に
版権を取り、許可を得ている様です。



またこの頃、
香港マフィア黒社会をテーマにした

かなり
ダークなジャンルも台頭します。




こちらのジャンルは過激な
エロ表現なども多く

後に大きな議論を呼び起こします。





ともあれ、
香港コミックス

武侠・ゲーム・黒社会



の三本柱が人気をけん引し

黄金時代を迎えるのでした♪







『SNK VS Capcom Vol.18葉明發 04年
日本の格闘ゲーム原作のマンガが一大ジャンルに







90年代の日本マンガブーム




香港コミックス天下が続くと思われた90年代

思わぬ
ライバルが出現します。




この頃、日本の
トレンディードラマアニメ

多く
放送されるようになりました。



それと同時にアジアで空前の
日本ブームが到来します。




90年初等から
海賊版マンガを販売してい

香港の
マンガ出版社は日本と正式にライセンス契約を結び

正規の商品が次々と販売される様になります。




そして
『ドラゴンボール』1巻18万部

驚異的なセールスを叩き出し



その後の
『スラムダンク』『セーラームーン』『ポケモン』

が次々と
成功を収めます。




香港の日本マンガ市場はっという間に

100憶円市場にまで成長しました。




現在でも香港でのアニメのシェアも
6割日本製とのことで

香港コミックスの天下は日本マンガに取って変わられました。



ただ、
香港コミックスは1番手は取られたものの

日本マンガとはすみ分けが出来たようで

日本マンガ・アニメの上陸後も順調に
成長を遂げます。




しかし、
香港コミックスは次第にマニアック化が進み

2000年以降は徐々に
低迷が始まります。







香港のマンガ・アニメイベント




90年代に始まった
日本マンガの快進撃は

アジア各国に日本ブームを巻き起こし


ラーメン、寿司などの
日本食ブームなども起きました。




しかし、97年の
アジア通貨危機による


アジア経済全体に襲った
不況、そして日本ブームの終焉とともに

香港の
日本マンガ市場規模は80億円ほどに収縮



更に2000年頃からアジアの
韓流ブームなどの台頭で

日本マンガ勢いがなくなったかに見えました。






ただ、その後は
日本マンガ・アニメ人気は

徐々に復活を果たします。



2005年に
香港でも絶大に人気を誇った日本マンガ



『イニシャルD』の実写映画が


劉偉強さん・麥兆輝さんコンビの監督で公開され



香港、台湾、日本の人気俳優を起用し

なかなかの
ヒットを記録しました



ちなみに、ヒロイン役に
鈴木杏さんが出演しています。



そして、2007年に行われた香港版の

コミケとも言えるマンガ・アニメの一大イベント



香港動漫節2007



7月27日〜31日の5日間開催され





では、当初予想を大きく
57万人の動員を記録!



コスプレなどのアニメ・マンガファンを楽しむ人口は

アジア全体で
拡大していることを証明したのです♪







『イニシャルD 実写版』2005年公開
日本マンガが香港・アジア映画にに新しい風を吹き込んだ











さて、
最後なりますが

最近の
香港コミックスを紹介したいと思います。




90年代までは売上を伸ばしていた
香港コミックスですが

2000年頃からは、
インターネットの登場やニーズの変化がおこり



武侠のジャンルのシリーズのマンネリ化

暴力表現や
エロ表現に対する批判が高まり

発行部数は
低迷を続け、苦境に立たされました。




そんな状況のなか
香港最大手のアニメ会社唐啓立

2006年の2月に中国大陸への本格的な
進出を発表しました。



他にも先に紹介しました
王澤さんの『老夫子』

2007年に中国へ
正式販売が決定するなど



香港コミックスが中国の新興市場へ飛び出す

動きが強まっています。





また低迷が続く香港の
映画業界も日本マンガ原作の

映画版『イニシャルD』を制作するなど




原作・日本 製作・香港 主演・日本・香港・台湾

とさまざまな
国境人種の壁を越えて


アジア全体に新しい風を吹き込みました。



それまでの
カンフー映画とは違った

新しい試みであると思います。





マンガ・アニメ・映画のビジネスの
グローバル化

そして、
日本マンガ・アニメの今後のあり方を考える

一つの
モデルになるのではないでしょうか?








『中華英雄』数碼復刻版 (5) 馬榮成
香港の大ヒット作品、83年に連載を開始し、2005年に復刻






〜おわり〜







2007年12月17日制作


今回は下記のHP・文献を参考に書かせて頂きました。

ありがとうございました!


フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

http://ja.wikipedia.org/wiki


中国情報局

2006年2月1日

唐啓立
香港の最大手アニメ事業会社、大陸へのアニメ進出

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0201&f=column_0201_007.shtml


アニメ!アニメ!

2007年7月7日
香港最大のアニメ・マンガ・ゲームイベント 7月27日から

http://animeanime.jp/news/archives/2007/07/_72777.html


ジェトロ(日本貿易振興機構)

2007年3月
香港におけるコンテンツ市場の実態(輸出促進調査シリーズ)

http://www.jetro.go.jp/biz/world/asia/hk/reports/05001482


香港漫画店にようこそ

香港コミックの歴史

http://www.hongkongmanga.com/page181.html


香港コミックって?

http://www.hongkongmanga.com/page178.html


香港動漫節2007(アニコム・フェア)レポート

http://www.hongkongmanga.com/page187.html


独立国家 真珠帝國

香港映画の世界

http://www2.wbs.ne.jp/~jrjr/index.htm


香港漫画指南

http://homepage2.nifty.com/hkcomics/old/index.htm





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