番外編 イタリアのマンガ・アニメ事情
〜イタリアのロボットアニメブーム〜
久々の追加となります♪
今回はなんとサッカー大国!イタリアのマンガ事情
について考えてみたいと思います。
ちょっと調べてみたところ資料がねーのなんのって・・・
何よりも統計的なデータが一切出てきません
まぁ、有料で買えばあるのかもしれないですけども
情報の少なさに思わずねつ造♪してやろうかと
考えてしまう次第です
いきなり愚痴から始まったイタリアのマンガ・アニメ事情
果たしてちゃんと解説できるのだろうか?(笑)
日本アニメの放送開始
さて、イタリアで日本のアニメが初めて
放映されたのが1977年に
『Vickei il ichingo/小さなバイキングビッケ』
が最初と言われています。
そして翌年の1978年には
『Atlas UFO Robot/UFOロボ グレンダイザー』
『Heidi/アルプスの少女ハイジ』
が放送されました。
またイタリアでは、『銀河鉄道999』でお馴染みの
松本零士さん原作のスーパーロボットアニメ
『ダンガードA』が成功を収めたそうです。
こうしてイタリアでは日本のロボットアニメブームに
沸くことになります!
ちなみに80年代に放送された日本アニメは下記の通りです。
70〜80年代に放送された主な日本アニメ
|
スーパーロボット系を筆頭に
様々なアニメが上陸を果たしています。
快進撃を続けた日本のロボットアニメですが
その反面、アニメに夢中になる子どもを危惧した
子供の親から表現が暴力的である!
との批判も高まった様です。
ただ80年代中盤あたりから日本アニメのコストが
高くなってしまったため新規の
アニメの買い付けが、できなくなってしまいます。
こうしてイタリアのテレビ局は過去に放送された
日本アニメの使いまわしが多くなり始め
マンネリ化したロボットアニメの
ブームは終焉を迎えることとなるのです。
『惑星ロボ ダンガードA(77〜78年)』松本零士
イタリアでは大ブームを巻き起こしたそうな
ちなみに動画は下記です
http://www.youtube.com/watch?v=cdjB_0s8aY8
※Youtubeに繋がります。
イタリア初の日本マンガ登場
80年代の日本アニメの成功は
その原作であるマンガへのニーズも
少しづつ高まっていきます。
イタリアでマンガが正式に登場したのが
1980年にさいとう・たかおさんの『ゴルゴ13』が
CRON社のEUREKAという雑誌に掲載されたのが
始まりと言われています。
その後、日本マンガはイタリアのコミック市場に
多く出版され始めるのですが
もともと市場が余りにも小さかったためか
日本の出版社が直接乗り出すことはなく
アメリカやフランス経由で日本のアニメやマンガの
版権を買い、出版するケースが多かったようです。
80年代中盤には
日本のロボットアニメブームが終わり
停滞期に入るわけですが
日本アニメファンは確実に浸透したようで
小さな出版社などが日本マンガの翻訳出版が始めるなど
細々と日本マンガ市場が形成されていったのです。
黄金の90年代
さてさて時代は
日本マンガ・アニメの黄金時代
世界中で日本旋風を巻き起こした
90年代に入ります!
91年には『AKIRA』が世界に公開され
欧米では大きな話題作となります。
この頃に入るとヨーロッパ各国では
『ドラゴンボール』『美少女戦士セーラームーン』が
モンスター級のヒットを記録!
イタリアでも日本アニメブームが再来します。
また日本では96年に放送された
『天空のエスカフローネ』
が、イタリアでもなかなかの人気を博し
子供のみならず、年齢の高い層にも支持され
日本アニメの再評価にも繋がったそうです。
その後はポケモンが上陸するなど
日本アニメの人気が高まると共に
原作のマンガ市場も最盛期を迎えます。
『天空のエスカフローネ(96年)』
年齢層の高い層にも支持され日本アニメの再評価に繋がる
イタリアのマンガ出版社
イタリアの出版事情ですが、マンガの統計的データの
詳細が全く見当たりません。
しかし、天下のジェトロさんが2007年3月にイタリアの
マンガ出版社の調査レポートを発表しており
大変参考になります。
イタリアの出版社の形態としては
先ほど説明をしたとおり
日本の出版社から直接仕入れるのではなく
アメリカやフランスの日本マンガ出版社から
権利を買い上げ、出版することが主流でした。
80年代初期に日本マンガの普及に貢献したのは
Granata Press社という出版社だそうで
数多くの日本マンガを出版し
イタリアにおいては日本マンガの
パイオニアになっていました!
ちなみにGranata Press社から発行された
主な出版物は下記の通りです。
Granata Press社から出版された主な出版物
|
Granata Press社はZERO誌という
雑誌を発行していたそうです。
現時点ではマンガ雑誌なのかは不明ですが
少なくともその「ZERO」というブランド名で
日本マンガの単行本を出していたようです。
Granata Press社は順調にマンガファンの
拡大に貢献を果たしましたが
96年に入ると日本の
エロマンガを中心とした海賊版が
大量にイタリアのマンガ市場に出回る
事態が起こります。
その結果、日本マンガに対する批判の高まりや
市場がさんざん荒されたため
中小企業の日本マンガ出版社さんは
次々と姿を消してしまいます。
Granata Press社もその煽りを受けたためか
96年に多くの未完作品を残して
倒産をしてしまうのです(泣)
『Ken Xenon Baoh / 北斗の拳 』2巻
Granata press社が出版 イタリアでは根強い人気の様だ
コミック市場の復活と衰退
市場に海賊版が溢れ大荒れの
イタリアマンガ業界でしたが90年代の後半
に入ると徐々に持ち直し始めます。
マンガ出版大手のStar Comics社が
日本マンガの版権を買いとり海賊版出版社に対し
著作権侵害で訴訟を起こし、多くに勝訴!
再び、イタリアのマンガ界は秩序を取り戻します。
また、この頃にPanini Comics社傘下の
スパイダーマンなどでお馴染み
アメコミ大手のMarvel Italia社がマンガ部門を
立ち上げマンガ市場に参戦!
現在ではPanini Comics社はコミック市場の
40%のシェアを持ち
続いてStar Comics社が23%と
2強時代を迎えています。
ちなみにジェトロさんの調査レポートによると
イタリア全体のコミック市場は
2000年には206作品1,962,000冊を発行し
売上のピークを迎え
そのうち約20%を日本マンガが占めるそうです。
ところが2002年には一気に半分の
169作品1,023,000冊までに低迷
そして、2005年には
203作品897,000冊まで下がります。
ただ、作品数は203作品と逆に増えているのは
注目すべき点ではないかと思います。
ちょっと余談になりますが
我らのジェトロさんは2002年の急激な
発行部数低迷の原因について注目をした様で
その真相を確かめるため、データの出所である
イタリア出版連盟に問い合わせたそうですが
回答を得られなかった
との理由で、諦めてしまったみたいです。。。
う〜みゅ、、、もうちょっと頑張ってくださいよ
じぇとろさぁ〜ん(涙
『Tsubasa Reservoir Chronicle / ツバサ』11巻
Star Comics社は少女マンガも多く出版し、イタリアでも一般化した。
イタリアのアニメDVD事情
さて、イタリアのアニメDVD市場ですが
最近のイタリアのマンガ出版社ではアニメDVDの
取扱いを増やして、業績を大きく伸ばした
事例もあるそうです。
しかし、市場規模などのデータは未整備なので
具体的な統計は出来ませんが
ジェトロさんの調査レポートによると
WagaGINE社の2007年2月の人気日本アニメ
TOP10が公開されていました。
いや〜、それにしても今回もジェトロさんの
調査レポートが大活躍です!
いつも助けてもらってばかりですな(笑)
2007年2月 イタリアの人気日本アニメ TOP10
|
エヴァンゲリオンがなかなかの根強い人気ですね。
何故か90年代のアニメの人気が集中しています。
また70年代のキャシャーンや
TEKKAMAN(宇宙の騎士テッカマン?)
といった古い作品の健闘が目につきます。
いかに70年代のイタリアでは日本アニメが衝撃的であり
当時からの根強いファンにアニメ人気が支えられている
ことがよくわかるデータですね♪
Neo Genesis Evan Gelion/新世紀エヴァンゲリオン
イタリアの日本アニメDVDではトップクラスの売上を誇る
イタリアのコミック市場の課題
さて、最後になりますがイタリアの
マンガ市場について考えたいと思います。
イタリアのマンガ、コミックの発行部数は
2000年をピークに減少の一歩をたどりました。
その背景にはやはり急激なインターネットの台頭が
背景にあるのではないかと推察されます。
マンガ・アニメのデータの個人間のやりとりの増加や
Youtubeなどの動画共有サイトに日本アニメが
アップロードされるケースは少なくなく
世界全体で日本アニメのDVDの売上激減が
起きており、DVD販社にとって死活問題となっています。
ただ売上の低迷にも関わらず
マンガの作品数の増加や、毎年イタリアで行われる
アニメフェスティバルのイベントには
数万人規模でが集まることを考えれば
マンガ・アニメの需要は拡大している
とも考えることもできます。
ただイタリアはドイツやフランスなどに比べ
市場規模が小さいため
日本の出版社などの単独での展開は
難しいと思われます。
今後はヨーロッパ全体を市場ととらえ
欧州全体のマンガ・アニメの商品展開の仕組みの
構築が必要だと感じてなりません。
Star Comics社 2008年4月の主な発売マンガ
|
Detective Conan(39)/名探偵コナン
イタリアでは昼の時間帯にアニメ放送されているらしい
〜おわり〜
2008年4月13日制作
今回は下記のHP・文献を参考に書かせて頂きました。 ありがとうございました! フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 http://ja.wikipedia.org/wiki ジェトロ(日本貿易振興機構) イタリアにおけるコミック・アニメ市場 基礎調査(輸出促進調査シリーズ) 2007年3月 http://www.jetro.go.jp/biz/world/europe/reports/05001432 OhmyNewsオーマイニュース イタリアの日本漫画事情(その1) イタリアの日本漫画事情(その2) http://animeanime.jp/news/archives/2007/07/_72777.html Edizioni STAR COMICS社 のHP http://www.starcomics.com/ Paninicomics社 のHP http://www.paninicomics.it/Home.jsp 日本のアニメ文化は世界中で大人気なのだ 各国アニメ・漫画事情 http://earth.endless.ne.jp/users/akio/anime/ |