第19回 第2部 『マンガ前史 1868〜1945年』 









「のらくろ資料館」より








第2部に入り4回目です!



今回のテーマは具体的なマンガの系譜について語ります。



時代は明治から昭和初期の日本です!








マンガのはじまりは?




現代マンガの直接的な、はじまりを考えた場合



新聞などの流通出版印刷システムが大きく発展し確立した



明治〜大正時代にかけてだと考えられます。



1868年は
明治維新により江戸時代が終わり、文明開化の時代です!





日本は時代遅れ!欧米に追いつけ!追い越せ!

をキャッチフレーズに





欧米の近代美術や文化が積極的に取り入れられます。




この頃になると、定期的な
新聞雑誌が発行され




現在の出版や
ジャーナリズムなどの



流通システムの原型が出来上がります。




そして、新聞などでは1コマの


世相風刺漫画などの連載がはじまります。






大阪錦画新聞 第1号(明治8年)
この時代からカラーがあったんですね〜。











北沢楽天と岡本一平




明治の後期から大正にかけて活躍した
代表的なマンガ家は


北沢楽天さんと岡本一平さんが挙げられます。



この二人は新聞の
風刺漫画で活躍したマンガ家です。




北沢楽天さんは欧米漫画の技術を学び




1905年には風刺マンガ雑誌
「東京パック」を創刊し

月に
10万部ほど発行部数を誇っていたといわれます。




ただ、これらの
風刺マンガは、現在のマンガとかなり異なり

欧米の美術画に近いと思われます。






『東京パック 創刊号』(1905年)
マンガと言うより、欧米の美術画に近かった。








マンガの新興勢力の台頭




1920年代、昭和の時代に入ると本格的に
現代マンガ


繋がるマンガ家が台頭し始めます。




そして、現代の
ストーリーマンガのさきがけと言われる


宍戸左行さんの『スピード太郎』が登場します。




『スピード太郎』アメリカンコミックスなどの影響を受け



コマ割も
映画的手法を積極的取り入れるなど


現代のマンガ手法に繋がる
画期的なマンガでした。




みなさん!
『スピード太郎』は必ずテストにでますので

しっかり覚えましょうね(笑)






『スピード太郎』(1930〜34年)
現代ストーリーマンガの先駆けと言われる。







子供向けマンガの躍進




そして、第2次世界大戦への戦争が始まる直前の
1930年代



マンガの主力と言えば、新聞の連載がほとんどでしたが


この頃、子供向けのマンガ雑誌
『少年倶楽部』などが創刊されます。





その中で、もっとも人気を呼んだのが
田河水泡さんの『のらくろ』です!




他にも
島田哲三さんの『冒険ダン吉』などが登場し


子供からの大きな支持を集めます。




しかし、この頃は世界大戦の原因となる世界大恐慌の時代です。




1931年には
満州事変が発生し、日中は一気に緊張状態。


1937年には
日中戦争が勃発し、41年にはアメリカとの開戦を迎えます。





国内のこうした緊急事態もあり、
『のらくろ』などの子供マンガは


子供向けの戦意高揚の宣伝に使われます。






『のらくろ総攻撃』(1937)
当時の戦意高揚の雰囲気が垣間見れる。










戦時下の日本初の長編アニメ





この頃、子供向けの戦意高揚として
海軍省で作られた


日本初の長編アニメが制作されます!





その名も
『桃太郎の海鷲』です!(1943年公開)


そして、
1945年には
『桃太郎 海の神兵』を公開!






この監督の
瀬尾光世(せおみつよ)さんは


ディズニー映画の『ファンタジア』に衝撃をうけ




「戦意高揚の作品であっても、子供達に夢を見せたい」




との思いで、戦意高揚目的でありながら、
平和への想い


込めた場面が随所にみられるそうです。





余談ですが、『桃太郎 海の神兵』 を高校生の手塚治虫さんが


見ていたそうで、感動のあまり涙を流したと後に語っています。









『桃太郎 海の神兵』(1945年公開)
GHQに廃棄処分されるが、84年にフィルムが見つかる。








日本の敗戦・・・そして




1945年 日本はポツダム宣言を受諾し


アメリカを主体とする連合国に
無条件降伏



日本はアメリカを中心とする
GHQ(連合国最高指令本部)の統治下に入り


GHQによる徹底的な
報道規制が始まります。




戦意高揚に使われた
マンガ書籍などは回収され

廃棄処分されてしまいました。






良くも悪くも、日本の今までの
価値観が大きく変わる事になります。




一方、
『桃太郎 海の神兵』を制作した瀬尾光世さんは



49年の
『王様のしっぽ』を最後に資金難からアニメ制作から身を引きます。



その後は
「瀬尾光男」のペーンネームで絵本作家に転向したそうです。







日本に衝撃を与えた昭和天皇とマッカーサーの写真。
GHQによる、日本の統治が本格化した。







そして、ついに現在のマンガ文化

一気に
開花することになります!



この続きはまた次回!





2006年12月2日 制作
2007年 2月2日 修正



勝手ながら下記のHP・文献を参考に書かせて頂きました。

ありがとうございました!


「現代マンガの全体像」 双葉文庫
著・呉智英


http://www.starleaf.net/~airami/index.html


フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki


「のらくろ資料館」
http://chaplin-web.hp.infoseek.co.jp/norakuro/nora_top.html






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