第20回 第2部 『勃興期 敗戦〜1950年』
第2部に入り5回目です!
今回は、敗戦直後の日本のマンガに迫ります。
この頃から、現在の日本マンガの
代表的なマンガが次々と生まれます。
敗戦直後の日本
戦争の敗戦・アメリカのGHQによる自由民主主義の名の下の
「文化政策」により旧来の日本の価値観を制限を行い
特に武道や柔道などの日本的な表現は規制されます。
変わりにアメリカ映画やドラマなどが多く流入し
日本人の価値観やマンガ文化に大きな影響を与えることになります。
結果、新しい文化であるマンガが大きく
開花する要因になったと考えられるのです!
新聞の4コママンガの連載
戦後直後、新聞から次々と4コママンガの連載が始まります。
しかし、当時は紙などの物資が不足していたため
新聞の大きさは現在の半分しかなく
紙1枚の裏表の合わせて2ページしかなかったそうです。
その中で人気を誇ったのは、46年から連載が始まった
長谷川町子さんの『サザエさん』です!
他にも南部正太郎さんの『ヤネウラ3ちゃん』なども人気を集めました。
『サザエさん』人気
『サザエさん』は46年からの連載から、休載を繰り返しながらも
74年までの実に28年間!4コママンガの連載が続きました。
戦後から日本社会への女性の進出が活発になる中
自由で活発な女性が主人公の『サザエさん』は大きな共感を呼びました。
『サザエさん』は現在でもアニメが平均視聴率25%を記録する
超・怪物番組です!
ただ、原作のマンガは時事ネタやブラックユーモアなど
社会風刺の色が強い作品だったのに対し
アニメ版『サザエさん』は、ほのぼのとした無難な内容のため
原作者の長谷川町子さんはアニメ版には、良い評価はしていなかった様です。
「テレビ版の『サザエさん』とは関係ありません」
と、わざわざ発言しておられるぐらいです。
マンガ版『サザエさん』は姉妹社と朝日新聞社などを合わせて
現在の発行部数は、累計8600万部を誇ります。
国民的人気の『サザエさん』
日曜日の終わりを告げるアニメだ!
街頭紙芝居
当時は街頭紙芝居なる職業がありました。
紙芝居と言えば、おじちゃんからお菓子を買ったら
紙芝居をやってくれるって言うアレですね!
そして、その紙芝居を描く紙芝居作家の職業もあります。
いまはすっかり廃(すた)れてしまった紙芝居ですが
TVなど無い時代の子供達にとっては人気の娯楽でした!
紙芝居で人気を誇ったのは『黄金バット』や『月光仮面』などが有名です。
そして、水木しげるさんの『蛇人の鬼太郎』などが人気を誇ります。
水木しげるさんは後に紙芝居作家からマンガ家に転向し
このシリーズが『ゲゲゲの鬼太郎』の原点となります。
街頭紙芝居は1950年代のマンガやテレビの
普及と共に姿を消すことになります。
ストーリーマンガの台頭
46年「少年クラブ」「少女クラブ」「少年」が創刊され
47年には「痛快少年」「漫画少年」が創刊と
少年・少女向けのマンガ雑誌が多く発刊されます
そして現在のストーリーマンガが台頭します。
中でも偉才を放ったのがマンガの神様 手塚治虫さんです!
46年の『マアちゃん日記帳』でデビューし
翌47年には『新宝島』が40万部のセールを記録し
現代のストーリーマンガの手法が一般的になります。
『新宝島』(1947年) 手塚治虫
ストーリーマンガのスタイルを決定的にした。
マンガ家の聖地・トキワ荘の誕生
新人マンガ家として異例の頭角を発揮した手塚治虫さん。
47年に入ると、手塚治虫さんを慕う若手のマンガ家たちが
手塚治虫さんが住むアパートの「トキワ荘」に集まりはじめ
「トキワ荘グループ」を結成します。
そのメンバーには
『おそ松くん』『天才バカボン』の赤塚不二男
『おばけのQ太郎』『ドラえもん』の藤子不二雄
『仮面ライダー』『サイボーグ009』の石ノ森章太郎
など、後のマンガ・アニメ界を引っ張るマンガ家が集まったことから
トキワ荘はマンガ家の聖地と呼ばれています。
マンガ家さんたちの聖地「トキワ荘」
かなりボロだったそうです。
以上見てきたとおり
日本のマンガ文化が4コマからストーリーマンガの台頭など
現代マンガの成立への流れを見ていただきました!
しかし、当時の認識はまだマンガとは子供の向けのものであり
映画やアニメーションなどより格下の娯楽でした。
手塚治虫さんを始めとするマンガ家達は
いかにアメリカ映画やアニメーションに近づけるのか?
これがマンガ表現の大きな課題だったのです。
次回へ続く!
2006年12月7日制作
勝手ながら下記のHP・文献を参考に書かせて頂きました。 ありがとうございました! 「現代マンガの全体像」 双葉文庫 著・呉智英 http://www.starleaf.net/~airami/index.html フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 http://ja.wikipedia.org/wiki |