第27回 第2部 萌え文化の台頭
〜萌え系マンガの誕生〜








『涼宮ハルヒの憂鬱』







上の画像は
『涼宮ハルヒの憂鬱』と言う、アニメです。





こちらの作品はもともと
谷川流さん原作の小説だったのですが

その後、マンガ化、アニメ化を経て人気を博します。





2006年4月にアニメで深夜放送されると人気が爆発

アニメ放送後は原作の小説は
130万部から

280万部まで一気に増刷!





主題歌もオリコンチャート
5位に入り込むなど

異例のヒットなりました。





この様な美少女系のアニメは
萌え系とも呼ばれるのですが

現在でも、その勢いは留まるところを知りません。





では
「萌え(もえ)」とは何なのでしょうか?






「萌え」とは?



「萌え」と言う言葉の始まりは


某・大手掲示板サイトにて「燃える」の変換ミス


により「萌え」が広まったなど、様々な説があります。






経済アナリストでお馴染み
森永卓郎さんの

大ヒット著書
「萌えの経済学」によると




「萌え」とは

「アニメなどのキャラクターをこよなく愛すること」


との定義が紹介されています。







浜銀総合研究所が2005年4月に出した試算によると

萌え市場は
2888億円と試算したそうですが






森永さんによるとそれはごく一部の数字であり


メイド喫茶ネットオークションなど加えれば


萌え市場は実に
数兆円規模に

なるのではないかと指摘されています!







さすがわ人気経済アナリストだけありまして

著書は実に読み安く、
面白い♪のですが





半分ぐらいは
「萌え」やマンガ・アニメではなく

経済社会問題などの持論を書かれておられました。





そこで今回は
「日本マンガ・文化論」的な視点で

「萌え」を考えてみたいと思います♪








萌え系マンガの祖先



萌え系マンガとはいつ頃できたのでしょうか?

まずその
原点を見て行きます。




萌え系マンガ
の原型は少女向け雑誌

「なかよし」から連載が始まった


武内直子さんの『美少女戦士セーラームーン』

始まりではないかとの説もあります。





『セーラームーン』91年から連載がスタートし

その同時期にアニメ化も開始!




作者も予想を上回る
大人気を博すことになります。




『セーラームーン』の人気は女子のみならず

男性の方にも大きな支持を集めました!





美少女戦士セーラームーンのマンガは

1200万部のロングヒットを記録!




その後、
海外にもアニメ・マンガが輸出され


ヨーロッパ・アメリカでも
大成功を収めるのです!




『セーラームーン』の大きな役割はこれまでの少女マンガの枠を超え

幅広い層への
支持を獲得することに成功します。







『美少女戦士セーラームーン』 91〜96年
「月にかわってお仕置きよ!」が話題に











CLAMP 旋風!



そして決定的になったのが96年の


CLAMPが連載した『カードキャプターさくら』

の大ヒットがあげられます。




CLAMPとは、もともと関西で女性マンガサークルとして


89年から同人誌を書く活動をしていたそうですが



その後、プロデビューし93年には
「なかよし」で連載していた


『魔法騎士レイアース』

が大ヒットを記録!



一躍、CLAMPの名を日本中に知らしめました!





CLAMPは2006年の時点では4人の女性

メンバーで活動しているそうです。



そして連載活動は
少女マンガ雑誌を超えて


少年マガジン
『ツバサ』(03年〜 )

ヤングマガジンでは『XXXHOLiC』(03年〜 )



などの
少年マンガ雑誌にも連載しています!







話がそれました!





『カードキャプターさくら』
はターゲットの少女のみならず


熱狂的な
男性ファンの支持を見事にゲットしました!





これ以後、
素人マンガ家が集まるコミケなどの同人誌


『カードキャプターさくら』をコピーした作品が多くなり




男性マンガ家の卵さん達は少女マンガの技法を

積極的に取り入れる結果となったのです。








『カードキャプターさくら』(96〜00年)
現在の萌えマンガ・アニメの「直接的始祖作品」








萌え系マンガの台頭



少女マンガから始まった
「萌え」への系譜(けいふ)!



その後、
少女マンガの影響を受けた


萌え系マンガと呼ばれる新しい

マンガ家さん達の台頭が始まります。




98年、
少年マガジンに連載が始まった

コミケ好きで有名なマンガ家の赤松健さんの

『ラブひな』が大成功を収めます。





これ以後、
他誌の少年マンガにも

「萌え系マンガ」の連載がはじまります。





そして99年
『あずまんが大王』が大きな支持を集め



マンガ家のあずまきよひこさんの名を

一躍全国に
(とどろ)かせます!




こちらは
萌え系4コママンガ元祖とも言われ


多くの
萌え系マンガの作品に影響を与えました!





こうして
「萌え系マンガ」のジャンルは爆発的に増殖!


今では少年ジャンプを始めとする少年マンガ雑誌には必ず

萌え系と呼ばれるジャンルが連載されています。





しかし、独自の盛り上げがりを見せる
萌え文化でしたが

世間ではかなりアウトローに移り、批判的な目で

見られていたのもまた
事実でした。







『あずまんが大王』(99〜02年)
萌え系4コマのパイオニア的存在








増殖する「萌え」



05年のドラマ版
電車男の大ヒットにより


萌えアキバ文化は一般的に認知されました。




その後、
アキバではメイド喫茶を始め

オタクをターゲットとした美少女アイドルも登場



萌え系のマンガのキャラクターが解説する

英語の参考書
『もえたん』シリーズが40万部

を記録し異例のヒットになるなど



もはや
社会現象とも言えるでしょう。




最近では
「萌え系マンガ」のみを集めた

マンガ雑誌まで創刊されるようになりました!




出版不況
で低迷するマンガ・アニメ業界ですが

萌え
快進撃はまだまだ止まりません。







まんがタイムきらら 07年9月号
「萌え」をメインとした雑誌が続々創刊









以上!見てきたとおり



萌え系マンガとは少女マンガに大きく影響を


受けた
男性マンガ家さん達が造り出した

まったく新しい
ジャンルだったのです!





さて
萌えを語る上で、もう一つ重要な物が



全国の
オタクの祭典

コミックマーケット(略してコミケ)


を無くして
語ることはできません!





・・・しかし、そこまで語ると長くなってしまうので

次回の後編に譲りたいと思います♪




次回へ続く!





2007年 8月13日 制作


勝手ながら下記のHP・文献を参考に書かせて頂きました。

ありがとうございました!


フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

http://ja.wikipedia.org/wiki


「萌え経済学」
 著・森永卓郎





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