第26回 第2部 成熟期 1997年〜04年 リバイバルブーム
『蒼天の拳』
「マガジン王国」の興亡
97年に宿敵であった、少年ジャンプを倒し
「マガジン王国」を築き挙げた少年マガジン!
その後も『金田一の事件簿』を筆頭に安定的な人気を誇ります。
マガジンでは1997年に『GTO』の連載が始まり
98年には反町隆史さん主演のドラマ版『GTO』の人気が爆発!
少年マガジンは絶頂期を迎えるのです!
もともとマガジンは、90年代を初めまでは
『カメレオン』『疾風伝説 特攻の拓』『湘南純愛組』
が3大ヤンキーマンガと言われ
「不良が読むマンガ誌」
と呼ばれていました。
しかし、97年以降は徐々に方針展開が進められ
『RAVE』や『ラブひな』などの
冒険ファンタジー系や萌え系の
連載も始まりヒットを飛ばすようになります!
その結果、硬派なイメージはすっかりなくなりました。
黄金時代を築き挙げた少年マガジンでしたが
2000年の『金田一少年の事件簿』の連載終了
そして、2002年の『GTO』の連載終了により
部数が一気に急落を招き
少年ジャンプに再び首位を明渡します。
マガジンは現在では発行部数は250万部ほどになり
300万部の少年ジャンプに継ぐ
2番目の少年マンガ誌となっています。
『ラブひな』(98〜04年) 赤松健
少年誌各誌で、萌え系マンガの台頭が始まった!
リバイバルブーム
成長が止まり、成熟期になったマンガ市場
こうした状況の中、マンガ業界では大きな動きが生まれます。
それは、80年代〜90年代にかけて黄金時代を誇った名作が
次々と復活を果たしたのでした!
1998年、79〜87年まで少年ジャンプで連載された『キン肉マン』の続編
『キン肉マン2世』
が週刊プレイボーイから連載を皮切りに
他誌でも、過去の名作の続編が登場することになります。
そして2000年に「少年ジャンプ600万部時代」の元・編集長
ジャンプのホリエモン(?)こと、堀江信彦さんが
新潮社をパートナーとして株式会社コアミックス社を設立。
翌、2002年に『週刊コミックバンチ』を創刊します!
その内容もかつての少年ジャンプで黄金期を支えた
マンガ家を中心とした作品が占められていました。
|
以上のように、堀江さんの人脈を使い
少年ジャンプの黄金期時代のマンガ家さんを中心に起用されています。
作品も過去のヒット作が多く、これほど
多くの過去の名作が勢ぞろいするのは類をみません。
また、新人発掘にも力をいれ、賞金1億円と言う
ちょー破格の賞金で大々的に宣伝します!
・・・が、しかし
現在でも、その逸材は現れずベテランのマンガ家を中心に
雑誌を引っ張る状態が続いています(涙)
また、堀江さんは2001年にはアメリカで初の週刊誌となる
『RAIJIN COMICS』を創刊しますが
これはトホホ・・・な結果となってしまいました(^^;
※詳細は『第12回 アメリカ 日本マンガの挑戦』を参照にて
『コミックバンチ』創刊号
『蒼天の拳』と『エンジェルハート』の2枚看板で登場!
『あしたのジョー』と『巨人の星』の復活
リバイバル作品のみならず
過去の名作そのものの復刻も、目立つようになります。
1970年代を代表する梶原一騎さん原作のマンガ
『巨人の星』(66〜71年)『あしたのジョー』(68〜73年)
2作品のカップリング雑誌
『ジョー&飛雄馬』
が2002年5月10日に創刊します!
当時の雑誌の雰囲気をそのままにとのことで
2003年11月まで、実に36号まで発刊されました。
ちなみに創刊号が40万部を完売し、増刷するなど
30年たった、現在でもその人気が
今でも健在であったことを示したのです!
『ジョー&飛雄馬』創刊号
2002年5月から2003年11月まで発行していた。
コンビニコミック
90年後半から、全国的に新古書店が台頭しました。
新古書店と言えば「BOOK OFF」なんか有名ですね♪
基本的に、定価の半額でマンガ買えると言う事で
マンガが急激に売れなくなってしまいます。
こうした、マンガ界の構造変化が加速するなかで
安い新古書店に対抗する形で登場したのが
コンビニコミックでした!
特徴としては、販売はコンビニに限られ
長期連載および、連載が終了した過去の名作を
カバーなどを付けず、やす〜い紙を使い
極力コストを抑えた廉価版マンガとも言えます!
他にも裏表紙などに広告を載せ、広告収入を得るなど
考えた人は、なかなか抜け目のない奴ですね。
この様なコンビニコミックを初めて販売したのが
小学館の「My First Big」と言うレーベルから
1999年に『ゴルゴ13』のシリーズが発売され
その後、『美味しんぼ』『ドラえもん』などが大成功を収めると
競合他社も追随して次々と参入が相次ぎます。
コンビニコミックは今や完全に一般化しています。
『ゴルゴ13 How to Access』
安かろう!悪かろう!もはや常識のコンビニコミック!
完全版コミックス
安さを求める一方で、逆の流れもあります。
それは、完全版コミックスと呼ばれるジャンルです。
完全版コミックスは連載が終了した過去の作品などを
通常版より大きいワイド版やカラー原稿の再現など
紙質も上質なものを採用し、豪華版マンガとも言えます。
こういった作品は以前から愛蔵版などがありましたが
完全版コミックスでは、完結後の続編が描き加えられたり
通常版ではカットされた場面を収録したりするなど、
通常版コミックを持っていても、また買ってしまうと言う
「買いなおし需要」を見事にゲットします!
最初の完全版は、98年に原作の結末を書き直した
木城ゆきとさんの『銃夢』が最初と言われていますが
一般化したのは集英社が2001年に販売した
『スラムダンク 完全版』が大成功を収めたことがきっかけでした。
2002年、第2弾にあたる『ドラゴンボール 完全版』が
2000万部の大ヒットを記録したことから
他社でも、完全版コミックスが次々と出る様になりました。
ただ、完全版コミックスは商品単価が高いことから
新古書店への転売目的による万引き被害も多く
大きな社会問題となっています。
『スラムダンク 完全版』
高かろう!良かろう!完全版コミックスが一般化!
以上!の様に90年代後半から始まった
リバイバルブームを見てきました。
マンガの復刻版はコンビニなどの新たな流通を活用し
懐かしい過去の名作を読みたいと言うニーズや
若い読者の獲得など、流動性を広めたと言われています。
完全版コミックやコンビニコミックなどの健闘は
一時期、マンガ全体の発行部数を押し上げるに至りますが
全体的なマンガ業界の発行部数低迷の流れを
止めるまでには至っていません。
リバイバル現象の欠点としては、新人マンガ家の育成や
斬新な作品が生み出したとは言い切れず
最近のハリウッド映画が過去のヒット作の続編やリメイク作品を
大量に作り、映画業界全体が低迷しているように
マンガの新たな可能性を広げる点では弱いと思います。
では、日本マンガの今後の新たな発展として
何が考えられるのか?
次回はその点について触れたいと思います!
次回へ続く!
2007年 2月18日 制作
勝手ながら下記のHP・文献を参考に書かせて頂きました。 ありがとうございました! フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 http://ja.wikipedia.org/wiki maehara on-line 「復刻ものブームを読み解く」 http://picnic.to/~ami/kisei/ryakushi.htm Excite デイリートピックス 「「名作リバイバル」現象を斬る!−怒涛の名作リバイバル」 http://media.excite.co.jp/daily/thursday/031016/index.html |