第28回 第2部 萌え文化の台頭(後編)
〜拡大するコミックマーケット〜
『コミックマーケット72』のカタログ
「萌え」を考える上で欠かせないが
世界最大の同人誌の即売会、オタク最大の祭典
「コミックマーケット」ことコミケです!
同人誌とは同好会、サークルの同士が資金を集めて
作り出した、手作りの雑誌のことで
ここでは、アマチュアのマンガ家さん達が
作った手作りのマンガと考えてください。
さて、コミケは主に国際展示場にて
夏コミと冬コミの年2回行われます。
2007年8月に行われたコミックマーケット72では
じつに3万5000スペース
にアマチュアのマンガサークルがひしめき合い
開催三日間で55万人も動員を記録しました!
商品はサークルのマンガ(同人誌)や自作ゲーム、音楽、コスプレや
アイドルの卵達が歌を発表したり様々です。
内容は、主に人気マンガ・アニメ・ゲームのキャラクターを
コピーしたエロや同性愛などネタがあり
おこちゃまにはかなり刺激が強すぎる内容になっています!
ちなみに6〜8割ほどの商品はエロと言われています。
そのため、その表現に対する批判や
著作権の問題など指摘されることが多々ありますが
コミケとはそもそも何なのでしょうか?
コミケの始まり
コミックマーケットの始まりは1975年
川崎市民プラザにて、マンガサークルやアニメファンたちが
学園祭の様な感覚で始めたのが始まりでした。
ちなみに参加者は女性が中心だったそうです!
当時は印刷技術はあまり発展していなかったため
マンガをコピー機でコピーし、ホッチキスで止めた程度の
物を売っていたと思われます。
ただ、この時期には『らんま1/2』『犬夜叉』でお馴染みの
高橋留美子さんがアマチュアで参加しており
アマチュアマンガ家さんの登竜門みたいな
ものになっていました。
その後、高橋留美子さんは78年に少年サンデーに
『勝手なやつら』でデビューすると才能を開花させ
第2回小学館新人コミック大賞佳作
を受賞!
そして、『うる星やつら』の連載をもつやいなや
大ヒットを記録しラブコメマンガの全盛を極めます。
『うる星やつら』(1978〜1987年)
サンデーにて連載、高橋留美子さんの出世作
コミケの拡大
80年代に入ると参加サークルの数が500を数え
一般参加者も1万人を越えるようになります。
前に解説しました『うる星やつら』
の大ヒットにより、ファンサークルが増加し
男性ファンの参加も目立つようになりました。
この頃になると内容もかなりエッチでマニアックになり
ロリコンブームなどが起きます。
また男性同士の同性愛をテーマにした
いわゆるやおい本と言わるジャンルも盛んになり
現在の腐女子文化の原型が生まれました。
その後も色々ありますが、長くなるので
細かいことはハショリます。
そして、時代はマンガ全盛期の90年代に入るのです!
美少女マンガブーム
90年代に入るとコミケは急速に発展をします。
96年には現在の国際展示場にて開催されるようになり
サークルの数も3万まで増加
動員数も10万人を突破します!
この頃は、オンデマンドの印刷技術が発達し
100部〜500部などのカラー印刷でも10万円程度で
安く作れるようになりました。
その結果、アマチュアでもプロ顔負けの商品を
作れるようになったわけですね!
そして、何より凄かったのが
『美少女戦士セーラームーン』が空前の大ヒットとなり
それまで、女性マンガ向けをテーマにしていた同人誌が
セーラームーンの同人誌に関しては男性にも
売れ売れ♪になります。
また、この頃は『新世紀エヴァンゲリオン』が
空前の大ヒットとなり、コミケ市場を席巻します!
『新世紀エヴァンゲリオン』(1995〜96)
コミケ市場を席巻!07年、再び映画化へ
コミュニティから市場へ
こうして、コミケはマスコミなどにより
世間一般に大いに注目されるようになりました。
それまで、サークルやファンなどの参加型の集まりでしたが
エロゲーメーカーなどの企業も多く参加するようになり
今までアニメ・マンガファン達のコミュニティの場と言うよりは
商業主義の市場へ変化をとげたのです。
またインターネットの普及により
ネットを通じての個人間のコミュニティが進むと
コミケへ2〜3人程度のチームとしての参加が
目立つようになったそうで
従来の10数名で構成されるサークルとしての
参加・活動は衰退していくことになります。
インターネットの革新
ここまでコミケが大きくなった背景には
インターネットの爆発的な普及があります。
そもそも、コミケに来る方々って言えば
マンガやアニメのオタクはもちろんのこと
電車オタクであったり、軍事オタク、スポーツカーオタクなど
様々なジャンルのオタクが集まっています。
もともとパソコンを使い始めたのは
秋葉原などに集まるオタク達でした!
今では携帯メールやら、MIXIやらでネット上での
コミュニティがあたり前になった現代ですが
その先駆けがオタクのみなさんです!
オタクと言えば少人数で固まり
独自の世界で好きなことを細々とやっている
大人しく、目立たない人たちでしたが
インターネットの時代に入ると
彼らは得意なパソコンを使い、ネットに進出
独自のコミュニティを形成します!
そして、巨大コミュニティ掲示板サイト2chが誕生し
その中で『電車男』が生まれるわけですね。
まさに、現代はオタクの時代になったのです。
萌えの全体像
インターネットによる個人のパソコンの普及は
アニメ作成、CG技術、音楽編集などのソフトが
パソコン1台でプロ並みの設備を持つことになりました。
まさに、アマチュアとプロの境目がなくなったわけですね!
その結果、アニメCGクリエーターやら、ゲームクリエーター
音楽クリエーターなどのプロの卵がたくさん生まれます!
そして、インターネットのコミュニティを通じて
マンガやアニメや音楽、ゲームなどの壁がなくなり
より密接に関わりあう様になったのです!
マンガ、アニメ、ゲーム、音楽、コスプレ・・・
インターネットで仮想空間が
現実の世界に集う場所がコミケであり
萌え文化の全体像ではないでしょうか?
ちなみにコミケのイメージはこんな感じ。
内容の批判について
よくコミケのエッチな内容ついて下品だ!
っと指摘されます。
しかし、ちょっと待って頂きたい。
エロって愛にも置き換えられますよね?
『萌え経済学』でお馴染みの森永卓郎さんは
世の中の衰退しない市場は恋愛市場である!
っと言っておられます。
また萌えとは恋愛市場である!と定義してました。
詳しい市場の分析については森永さんに譲るとしまして
ツカさんはそれは確かにと共感しました。
世の中の芸術や歌など愛をテーマにしたものが
多いと思いませんか?
いつの時代も恋愛小説が売れるのはなぜか?
歌だってラブソングが圧倒的に多いじゃないですか。
第17回で紹介した日本の浮世絵だって、もともと
枕絵(まくらえ)と呼ばれるエロ本がほとんどだったのです。
詳細はこちらにて
以上の様に考えるとエロは人間の根源的な
パワーなのだと思います。
つまりコミケの本質は愛だったのです!
よって、著作権問題など持ち出し
エッチなどの表現を大きく規制することは
コミケの本質的な力を失い衰退することになるでしょう
かつて全盛を誇ったアメリカン・コミックが
50年代の大幅な表現規制により衰退を招いたように・・・
以上!見てきたとおり
コミケ、そして萌えの本質に迫ってきました!
後半は話がそれまくりましたが
うちのサイトで愛を語ることになろうとは(笑)
ともあれ、インターネット社会の到来は
アニメ・ゲーム・音楽など異種ジャンルの融合をもたらし
マンガのそのものが大きく変化しました。
これは、かつての手塚治虫さんに憧れ
若手のマンガ家さんが集まり、お互いを刺激しあった
トキワ荘グループや
さいとう・たかおさんの劇画や水木しげるさんの怪奇マンガ
のジャンルを作り出した貸本屋など
コミケはこれらと同じ効果をもたらしていると思います!
コミケの自由な風土が続く限りは
新たなマンガ家さんが輩出されるのではないでしょうか!
さて、次回はマンガ業界について迫りたいと思います。
次回へ続く!
2007年 9月30日 制作
勝手ながら下記のHP・文献を参考に書かせて頂きました。 ありがとうございました! フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 http://ja.wikipedia.org/wiki 「萌え経済学」 著・森永卓郎 MAG’s Life コミュニティーから市場へ −コミックマーケット− http://f16.aaa.livedoor.jp/~maghp/index.htm |