第2部 第29回 崩れゆくマンガ業界








「坊ちゃん」











日本ではマンガの市場規模の低迷が止まりません。


最盛期には
6000億円も市場規模がありましたが

現在ではおよそ
5000億円ほどと言われています。





特にマンガ雑誌の低迷には目に余るものがあります。



低迷する少年マンガ雑誌

少年ジャンプ 653万部(95年) → 280万部(07年)
少年マガジン 415万部(97年) → 210万部(07年)
少年サンデー 200万部(00年) → 100万部(07年)
少年チャンピオン 115万部(02年) → 50万部(07年)








更に最近休刊になった雑誌は下記のとおり



休刊が決まった主なマンガ雑誌


コミックボンボン(07年)

コミックヨシモト(07年)

月刊少年ジャンプ(07年)

近代麻雀ギャンブルCOM(05年)

近代麻雀ゴールド(05年)

まんがタウンオリジナル(05年)






最近の特徴として
コミックボンボンなどの

大手の休刊が目立ったことが上げられます。


他にも廃刊ならずとも
隔月へ移行するなど

販売を
収縮する傾向にあります。




低迷の続くマンガ業界ですが今後はどの

様になっていくのでしょうか?


今回はマンガの
今後について考えて行きます。









新古書店の台頭



低迷するマンガに
反比例するように

急速に成長する産業、それは
新古書店です。



「BOOK OFF」は90年に1号店を開店し

従来の古本屋の
暗い汚いのイメージを払拭


その後、爆発的に
全国へチェーン展開を行い

2005年には東証一部へ
上場も果たします。





マンガって結構揃えると
邪魔になりますし

それまで押入れや、
ゴミとして捨てられていた

マンガを上手く取り込んだ
ビジネスだと思います。



昔の
古本屋なんてタダでも良いから引き取ってくれ

って、言ってもよく断れましたしね〜




ただ、最近の
ブックオフは無理な成長がタタッたのか

粉飾決算の発覚や、トップの賄賂、
セクハラが発覚!

坂本会長辞任まで追い込まれてしまったのでした。




しかし
「BOOK OFF」の登場は

マンガが定価の
半額で手に入るため

それまでの
書店さんの売り上げが低迷するなど


従来のマンガの
収益構造に大きな

影響をもたらしています。







「BOOK OFF/ブックオフ」
それまでの古本屋を一新し、全国展開へ!











貸本屋の復活



貸本屋とはかつて1960年代の日本で

全盛を誇りましたが、
少年誌の台頭と


マンガを読み捨てから、買って家で読むという
蔵書

ニーズが高まると70年代に急速に姿を消しました。



しかし、最近ではレンタルビデオ店の大手
TSUTAYA

コミックスレンタル参入するとのニュースが流れました。



07年1月には
46店舗を展開し

08年3月には
100店舗まで広げる予定とのことです。




マンガは蔵書のニーズから読み捨て

ニーズへ再び変わって来たことがわかります。




ちなみ
TSUTAYAは最近、BOOK OFFとポイントカードでの

提携を始め、関係を強化しています。






「TSUTAYA/ツタヤ」
レンタルビデオの最大手、レンタルコミックに参入!









ネットカフェの台頭



ネットカフェ難民など社会現象にも

なっている
インターネットカフェですが



こちらはほとんどが
漫画喫茶と呼ばれる

スペースを貸し出し、1時間で
数百円で店内の漫画が

読み放題、ドリンク飲み放題といったサービスです。



もともと90年代の
名古屋で広まったそうですが


2002年ほどから今のスタイルの喫茶が
急増

現在では
2000億円市場とも言われています。



最近は
シャワー付きや、ゲームがあったりと

進化を続け
複合喫茶とも呼ばれていますが



新たなマンガを読む
スタイルが広がっていることは

間違いないと思います!








無料マンガ雑誌の創刊!



一方で、マンガ雑誌の
無料化の流れも進んでいます。


R25などのフリーペーパーの台頭は

目に付きますが

07年1月16日
デジマと言うベンチャー会社から


世界初の無料マンガ週刊誌!


「コミックガンボ」

を創刊します!





これは主に
手配りでマンガを配布し

広告の収入のみで収益を挙げるという

ビジネスモデルだそうです。



他にもHP上で有料の
会員登録すれば

過去のマンガを全て見れるそうです。




マンガの内容も主に新人の
マンガ家さんを中心に

書かせているようですが


『マジカルたるるーとくん』『東京大学物語』でお馴染みの


巨匠・
江川達也さんが『坊ちゃん』の連載をしています。





07年10月9日には
ガンボコミックスとして


『坊ちゃん』1巻 

原作 夏目漱石 マンガ 江川達也


『黒草子』1巻

吉田ひろゆき



などの
単行本が発売されました。




コミックガンボの創刊は公称10万部

発表されていましたが、その後は
3万部ほどで

現在でも、発刊が続いています。




無料マンガ雑誌の成功のカギはいかに配布先を広げられるかと

ヒット作が生み出せるかにかかっているでしょう♪







「コミックガンボ」創刊号
世界初の無料マンガ誌





追記

でもコミックガンボが廃刊になってしもうたがなぁ!

『コミックガンボ』 2007年12月11日廃刊・・・

下記が反省文です。

『世界初の無料マンガ誌 ガンボ廃刊!』
のニュースを見て思ったこと









電子コミックス



紙媒体の他にも
電子媒体のコミックスの

台頭が最近目立っています。



電子コミック市場は06年で
34億円まで拡大

電子書籍市場は全体で
270億円に達し

前年比の
3倍だそうです。



電子コミックス
の特徴的は

PC向けの市場が
11億円に対し

携帯向け市場が
23億円



なんと
携帯で電子コミックスを買うニーズが

高まっているのです!




電子コミックスが急速に広まった要因として携帯の

パケット通信
定額制が広まった点が挙げられます。




現在でも、昔連載した人気作品以外は

あまりジャンルがなかった
電子コミックスでしたが




最近では大手出版社の
小学館講談社などが

電子版
オリジナル作品を連載も始めるそうで


今後は間違いなく、広まる市場だと思います!








マンガビジネスの構造変化




こうして見ると
インターネットの普及に

よる環境の変化が急激に進み


今までの
マンガ産業のビジネスモデルを大きく揺らい

でいることが伺えます。




では
マンガは衰退が始まっているのか?

その問いに対し
面白いデータがあります。



なんとマンガの単行本の売り上げは
伸びているのです。




例えば2003年にジャンプの単行本
『ONE PIECE』27巻は

初版発行部数が
263万部と日本記録を打ち立てます。




そして、2005年には
コミックスの売上がマンガ雑誌

初めて追い越す統計データが
発表されました。



マンガ雑誌は低迷する中、マンガの単行本のニーズは衰えて

いないことが
鮮明になったわけですね。







『One piece 27巻』尾田 栄一郎
03年、初版発行部数の日本記録を塗り替える。









インターネット社会の激震



かつて
マンガ雑誌で最新のマンガを知り、

おきに♪のマンガの単行本を買っていました。




しかし、マンガ雑誌の
欠点としては

見たくもねーマンガがあったり

好きなマンガのページが
少なかったりします。



だったら
好きなマンガだけを単行本で

買えばお得な訳です♪




そこで
インターネットの登場です。



インターネットは作品の情報や
ユーザーの意見などが

よく出ていますし、大体自分の
好みの作品がわかります。



今まで
マンガ雑誌新聞しかなかった情報が

インターネットでお
手軽♪に情報が手に入る

よい時代になってきたわけですね!




その結果、
マンガ雑誌情報誌新聞などの商品の

いわばナビゲーター的な役割を果たしていた

週刊誌月刊誌衰退が始まり



単行本
フィギアなどのよりマニアック

商品の売上が
伸びているそうです。






ちなみにイメージはこんな感じです。












インターネット社会の到来は

いわゆる
違法コピーなどの情報が氾濫し


アニメDVDなどの売り上げが激減するなど

従来のビジネスモデルが大きく崩れる結果となったのです。




ただ、もはや時代は
後戻りできません。

マンガ雑誌を大量に売り、単行本を買わせる

マンガ業界の
黄金時代はなくなりました。





現在はファイルの
コピーやネットを通じた

個人間のやり取りの完全な管理は不可能です。



これからは雑誌以外でマンガを読む様になった

多様性した読者を
大前提


マンガアニメの新しいビジネスモデル

を考えなくてはいけないのです。




アメリカで
『SHONEN JUMP』が思ったより売れていないのは

インターネット社会が関連していると思います。



かつて、
ウォークマンで世界を席巻したソニー

CDコピーの防止などの
守りの姿勢に躍起になり



結果、
アップル社iPodの登場で

ソニーはデジタル音楽市場に大きく乗り遅れ

現在の
凋落に繋がってしまいました。




マンガ業界も変化を恐れ雑誌などの紙媒体による

旧来のビジネスモデルに
執着していれば

いずれ
ネット社会により駆逐されてしまうことでしょう。





以上です!




さて、次回はいよいよ最終回となります。





2007年11月10日 制作
2007年12月30日 追記追加


今回は下記のHPを参考に書かせて頂きました。

ありがとうございました!


フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

http://ja.wikipedia.org/wiki


日経新聞 2007年5月28日

携帯向け漫画 配信拡大
電子書籍市場3倍に


漫画雑誌 創刊・休刊情報

http://www10.ocn.ne.jp/~comic/magazine4.htm


出版科学研究所 

http://www.ajpea.or.jp/statistics/statistics.html


エンタメ‐コミック・アニメニュースイザ!

「無料漫画誌「コミック・ガンボ」創刊 甲斐昭彦さんに聞く」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/entertainment/55794/






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