特別編 激変するマンガ業界









『ROOKIES 1巻』 森田まさのり










日本の出版業界の
低迷が続いています。



08年11月の
金融危機以前から

雑誌の広告料の低迷が続いていましたが

状況はより
深刻さをましているようです。



出版科学研究所によると

2009年の出版市場規模は

実に20年ぶりに
2兆円を割った


1兆9300億円

となるそうで



今後も
マンガ雑誌業界はより

厳しくなるだろうと
想定されます。


今回の日本の構造的な
について

考察を進めて行きたいと思います!







マンガ雑誌の限界



最近では長年
ライバル関係

にあった、
サンデーマガジンが一緒になり

ゲームや
コラボ雑誌創刊するなどの

取り組みも行われました。



ライバル誌同士が手を組まなければ

ならないほどマンガ業界は
悪い状況に

なってるとも見れる訳ですよ、ダンナ(?)!



いずれは
サンデーマガジンが合併して

サンマガ誕生!との筋書きも

あるのかもしれませんね〜





以前、『崩れゆくマンガ業界』

マンガ雑誌の低迷と単行本の売り上げ増加

を取り上げましたが



現在もこの傾向はますます
まっており


2009年12月には
『ワンピース』第56巻が

マンガの単行本の
初版発行部数

285万部発行!

と日本記録を更新をしています。





実際、マンガの
週刊誌を発行するたびに

2000億円以上の

赤字を出しているとのことで




単行本の売り上げで

なんとか
利益をだしているのが

現状と言われています。



マンガ雑誌の
ビジネスモデル限界に来ている・・・

っと、思うのは
ツカさんだけではないはずです







『ONEPEIECE 56巻』尾田 栄一郎
09年、初版発行部数の日本記録を285万部と塗り替える








マンガ家さんの反乱



マンガ業界の低迷が続く中

マンガ家さんたち自身の窮地(きゅうち)

クローズアップされるようになりました。




その中でも注目を浴びてたのが

『海猿』 『ブラックジャックによろしく』

のヒット作で知られる
佐藤秀峰さんです。




佐藤さんはインタビューなどで

マンガ業界の不況や
マンガ家さんの

苦境をたびたび訴えています。




何よりも雑誌に連載する原稿料では

やっていけず、
単行本でなんとか稼いでいる

マンガ家さんの現状があるとのことです




佐藤
さん自身は2002年に

『ブラックジャックによろしく』の大ヒットで

一躍、
人気作家となります!




しかし、当時
『ブラよろ』を連載していた

モーニングとのやり取りに

不信感が多くあったそうで



2007年にはライバル誌の

ビックコミックスピリッツに連載を移籍するという

異例の事態がおきました!







『ブラよろ』オンライン配信へ



他の例では『金色のガッシュ!』の作者さんも

原稿
紛失など、出版社に不信感を募らせ

裁判沙汰にまで発展!!



その後、08年に
小学館から255万円

支払いを受けることで
和解します。




こうしてみるとマンガの
ビジネスモデル

崩れ始め、今まで立場の
かった

マンガ家さんたちのフラストレーション

高まっていることが感じられます。





こうした
マンガ業界の現状に

危機意識を持っている佐藤さんは


出版社に頼らないビジネスモデルを!

との事で




『ブラックジャックによろしく』『海猿』など

自身の作品を2009年4月に

電子コミックとして新作30円、旧作10円で

ウェブ上で販売すると
発表します。





佐藤さんは、とあるインタビューで

いずれでたくさんの
マンガ家さんに

電子コミックの作品を
配信しもらい



自分もその
コンテンツの一部になる

との
将来像を話をしていました。




しかし、
電子コミック

まだまだ利益の
薄いビジネスです。




佐藤さんの新しいマンガビジネスモデル

確立には
試行錯誤が続くことになりそうですが

ぜひ
頑張って欲しいと思います!







『新ブラックジャックによろしく 1巻』佐藤秀隆
緻密な取材を元に医療問題に迫った社会派マンガ!



佐藤秀峰 on Web - 公式サイト

http://satoshuho.com/index.html

ちょっと重いかも・・・







動画共有サイトの台頭



ネット関連で大きく
影響力

増しているのが


Youtubeニコニコ動画を始めとする

動画共有サイトでしょう!




動画共有サイトとは

インターネット上で誰でも
簡単

動画がアップすることができ

気軽に
閲覧することができます!





そういえば2007年に

お笑い芸人の
小島よしおさんの動画が

Youtubeの世界ランキング
5位に入り

話題になったことがありましたねぇ



小島よしおさんのYoutube動画

紳士服のフタタさんのCMですが・・・






この様に
Youtubeニコニコ動画

素人が作った面白い動画がいきなり

有名になったりする例がたくさんあります!




しかし、
著作権無視した

アニメドラマなどの投稿が多いため

DVDの売り上げが
落ちるなどの

影響が出ています!





最近では、
著作権のある動画の

削除が進んでいますが、
海外の会社である


Youtubeマイナー動画共有サイト

日本の著作権の意識は
薄い感じがします。





ただ、深夜に放送されたアニメ

『涼宮ハルヒの憂鬱』などは

Youtubeなどの様々な

動画共有サイトに投稿された結果



人気に火がつきDVDが売れるなど

大きな
反響を呼びました。





他にも
ニコニコ動画Youtubeに積極的に

作品を流し告知をした
フラッシュアニメ


『秘密結社 鷹の爪団』



は深夜放送で
3.6%の視聴率を記録し

低予算ながら健闘をします!



また2010年1月16日には

映画公開もされています。





この様に
動画共有サイト

上手く良い宣伝手法だと思います。



今後もこの様な
手法

増えるのではないでしょうか?





しかし、
Youtubeニコニコ動画などの

動画共有サイト運営企業さんは

アクセスが増えるとと
サーバー維持費

雪だるま式に
大きくかかるため



広告費だけでは運営費をおぎないきれず

現在でも
赤字経営が続いてるのです。







『秘密結社 鷹の爪団』(06年、09年放送)
シュールなネタは低予算ながらもカルト的な人気を博す



秘密結社 鷹の爪団のYoutube動画

http://www.youtube.com/watch?v=4pQobF3mrx8







スクエニの例



ついでに
スクウェア・エニックス

紹介したいと思います!


ドラゴンクエスト
ファイナルファンタジー

などの
ヒット作でお馴染みの

ゲームメーカーの
スクエニですが



こちらの会社は
合併する以前の

エニックス時代から月刊マンガ雑誌

少年ガンガン
を発行しており

マンガ業界に深い
繋がりがあります!




有名な成功例としては

少年ガンガンで連載中だった



『鋼の錬金術師』

2003年にアニメ化を行います!




その結果、それまで

売り上げ
100万部だった単行本が



一気に
700万部まで増加!

その後、ゲーム化など様々な関連商品が



売れるという良い
相乗効果

おきたのでした!





ちなみに最近は主力の
ゲームが苦しいようで

2009年7月に発売された


ドラゴンクエスト9



415万本のセールスを記録するなど

シリーズ最高の売り上げになりました!





しかし、想定の
500万本

届かなかったためか2010年3月に



早くも
廉価版(れんかばん)の値下した

商品の発売が
予定されています。





また09年12月に発売された

ファイナルファンタジー13



180万本近く売り上げましたが

制作費はなんと
80億円近くと言われています。

(前作のFF12の制作費は60億円らしい)





とある
ゲーム関係者の話によると

ゲームは一本売れば
2,500円

ゲームメーカーの
利益らしいです。




そう仮定すると・・・


FF13 制作費は80億円?


ゲームの売り上げ利益

200万本 × 2,500円 = 50億円

 50億円 - 80億円 = 
−30億円?





と、例え
200万本売れても

億単位の
赤字だと推察されます・・・





今後の
利益を出すためには

海外市場の開拓が

急務になってくると思われます!





日本のゲーム業界も
マンガ業界

同じような
構造的

低迷になっていると言えますね〜







『FINAL FANTASY XIII』
高予算のため赤字が必須!利益は海外の売行き次第か?










マンガ原作のドラマ・映画化



色々な
業界を見ていると


どこも新たしい
ビジネスモデル

模索(もさく)する動きが出ていること

がよくわかりますね!



最近、ビジネスとして手法が
確立しているのが

マンガ原作のドラマ化、映画化でしょうか




ちなみに下記が2009年の

邦画の興行収入のランキングです!




2009年10月の邦画ランキング


1 ルーキーズ(85億円) マンガ原作ドラマ
2 .おくりびと(62.5億円)
3 20世紀少年/第3章(見通し45億円) マンガ原作
4 アマルフィ(37億円)
5 エヴァンゲリオン(35億円) アニメ映画
6 .名探偵コナン(34.9億円) アニメ映画
7 ごくせん(34億円) マンガ原作ドラマ
8 ヤッターマン(31.5億円) アニメ原作
9 クローズZERO(30.2億円) マンガ原作
10 20世紀少年/第2章(30.1億円) マンガ原作


※データの出所は不明 日本製作者連盟かな?   





これらの順位を見ると
マンガ原作

ドラマ・映画の
対等がいかに

著しいかがわかります。




人気マンガの
実写化は2004年ぐらいに

映画化が
盛んになったような気がしますが

2005年に大ヒットした実写版
『NANA』の成功や




少女マンガ原作で
井上真央さんが

主演されたドラマ版
『花より男子』

大ヒットが目に付くかと思います。





その後の2008年には

『花より男子ファイナル』

として映画公開もされ大ヒットを記録!



→ マンガでウハウハ
→ ドラマでウハウハ
→ 映画でウハウハ 
→ さらにマンガが売れてヒャッホー!

と、まさに
ウハウハのあらし!




こうした
マンガ原作の効果により

2006年と2008年は洋画の
興行収入

邦画上回るとの
快挙を果たし



低迷する日本の
コンテンツ業界にとって

救世主となってます!







映画版 『花より男子ファイナル』
08年に映画公開され77億円の興行収入を記録した









「原作マンガ映画」成功の裏で



こういった
マンガ原作のドラマ・映画製作は


『製作委員会方式』

で、多く作られています。




「製作委員会方式」とは

テレビ局、大手企業、広告代理店

など、映画制作に様々な
企業さんが


お金を出し合って、失敗する

リスクを分散させましょう♪


との意図があります!




このやり方で主導権をもっているのは

テレビ局の場合が多く


ガンガン自分たちの
CM番組

ドラマや映画の
宣伝を行い




映画が大ヒットして得た
利益

「製作委員会」の中で

分配する仕組みになっているそうです!





ただ
「製作委員会方式」問題点として

映画で得た
利益のほとんどを



「製作委員会」

大手スポンサーが持っていき



実際、映画を作っている
制作会社さんは

「製作委員会」のメンバーには入れず

利益があまり
分配されないそうです!





ちなみに
深夜アニメ「製作委員会方式」

多く製作されており、同様に
アニメ製作会社さん

には
お金が回っていないそうです(涙





他にも
製作サイドとスポンサーが

作品を巡って深刻な
対立が発生するなど

様々な
問題があるのですが



ツカさんの頭の中が爆死寸前なので

ハショらせて頂きます(笑)






テレビ局の体質



不況のなか、数少なく成功している

「製作委員会方式」ですが

その手法の
乱発が目立ち始めています。





最近、話題になった
マンガ原作のドラマ

『JIN -仁-』も中途半端に最終回を迎え



続きは映画でね♪

っとの展開に



批判的な意見も少なくありません。

※「JIN -仁-」映画化はまだ未決定の様ですが





こういったことを立て続けにやると

いずれ
飽きられるのではないかな

・・・とも思いますね




問題の
根本を突き詰めると

日本の
テレビ局体質にいきつきます。





日本のテレビ局は
許認可制度

テレビ事業を
独占状態にしています。




よく
話題になっているのが

実際テレビや
コンテンツを作っている



現場には
安い給料で働かせ

大手テレビ局の
幹部

高給取りとの実態があります!





そういえば前に

『あるある大辞典2』



納豆効果捏造問題でその

テレビ局の体質が

社会問題になりましたよね〜






もっとは大手のテレビ局は

世界に日本の
アニメコンテンツなど

売る
展開をして欲しいと思いますが




テレビ局の売り上げの99.7%

日本国内でまかなっているとも言われ



海外市場にはあまり目を向けず

守りに走ってしまう
傾向があります。





これも日本の
出版社にも通じる

ところもあるのですが



日本市場が
収縮するなかで

下請けから
利益を奪い



結果、実際コンテンツを作っている
現場

ジリ貧になってしまう

との
構造が見えてくるわけですね。







ドラマ版 『JIN -仁-』
マンガ原作ドラマ。視聴率も好調のため、映画化の噂も









以上、見てきたとおり

様々な業界で大きく
産業構造

変化が起きていることが伺えます。





動画共有サイトなどの

新しいメディアの
対等により

やり方によっては
低予算でも

大きな
成果を出すことも可能になりました。





しかし、新しいビジネスに対し

肝心の大手の
テレビ局やら出版業界

古い体質や
利権構造などの

しがらみが多いため




むしろ
アメリカなどの海外が先行して

新しい
ビジネスが生まれるのでは

ないかと思えてなりません。







映画版 『ROOKIES -卒業-』
09年に映画公開され邦画の興行収入1位に!





〜おわり〜







2010年1月21日制作


今回は下記のHP・文献を参考に書かせて頂きました。

ありがとうございました!


フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

http://ja.wikipedia.org/wiki


JYANJYANニュース

今日のマスコミ
2008/11/25

http://www.news.janjan.jp/media/0811/0811121343/1.php


産経ニュース

出版業界、2兆円割れへ デフレの波、雑誌休刊で
2009/12/25

http://sankei.jp.msn.com/culture/books/091225/bks0912251220002-n1.htm


ZAKAZA

大ブーイング!ぐだぐだ最終回「JIN」映画化?TBS意外な反応
2009/12/22

http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news
/20091222/enn0912221612006-n2.htm


総合図書館大目録

<まんがの日>記念 新世紀マンガPublisherインタビュー 
『新ブラックジャックによろしく』漫画家 佐藤秀峰さん(1) 
2009/11/3

http://www.sogotosho.daimokuroku.com/?index=intshin&date=20091103


『新ブラックジャックによろしく』漫画家 佐藤秀峰さん(2)
次世代に漫画を残したい 
2009/11/4

http://www.sogotosho.daimokuroku.com/?index=intshin&date=20091104


2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?

扶桑社新書 著・ひろゆき(西村博之)
2007年7月1日


僕が2ちゃんねるを捨てた理由

扶桑社新書 著・ひろゆき(西村博之)
2009年6月1日


テレビ局の裏側

新潮社 著・中川勇樹
2009年12月20日






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